前編からの続き

ぼくは『バイセクなので、女性に恋する可能性もある』ということを彼にカミングアウトしたのですね。すると彼は、存在しないぼくの架空の彼女に対して、猛烈な嫉妬心を持ってしまったのです。

どんな彼女なのか、綺麗なのか可愛いのか、男っぽいのか女っぽいのか。でもそんなことを問い詰められても、リノルナは、そのとき本当に誰ともお付き合いがなかったのですよ。

彼はぼくの手を握りしめて、言動をヒートアップ。ぼくの過去の恋愛を根掘り葉掘り聞き出し始めます。さらに、

「キミは女性に逃げずに、ちゃんと同性を愛せるようになったほうがいい。いまから二人でセックスしてみてはどうだろう。気分が変わるんじゃないかな」

などと、彼が言い始めたので、ぼくは彼の手の中から慌てて自分の手を引っこ抜きました。

だって、出会ってすぐに、しかも恋愛感情もないのにセックスなんて、ぼくにはとても信じられなかったのです。しかも『女性に逃げる』なんてひどすぎます。なぜならば、ぼくは女性も男性も好きなのですから。

さらにさらに、彼はぼくに『オープン・リレーションシップ』という関係のあり方を説明し始めました。

じつは彼は、世界中のあちこちに彼氏がいたのです。その一人一人に対して、真剣な交際をしているのだそうです。すべて合意の上で、『隠し事ナシ』なので、浮気ではないのだそうですが。。

ぼくは、子どもっぽいかもしれないけれど、相手から100%の愛情を望みます。そのためには、相手の願望に出来るだけ寄り添うつもり。

でも、だからつまり彼とは、もうムリでした!

結局、ぼくが彼に合わせようとしすぎたところが良くなかったのでしょうかね。友情から恋愛感情に移り始める感じのタイミングだったので、なんだか全身を切り刻まれたみたいな気分で、いまでも悔しくてムカつきます。

***

ついつい相手に合わせてしまう受動性と言えば、タロットでは【女教皇】というカードが有名ですよね。

【女教皇】は、大アルカナという役札カードの中で2番目に位置するカード。そして2という数字は、『女性数』と言われているほど、すべてを【受容】をするのです。

反応を待ってから、決める。あるいは、自分と正反対の意見を自分の中に取り込む作業をする。自分と他者、両方が共存して初めて自分の存在がバランスされるわけです。

自分では決めないので、ヘタをすると相手に依存気味になってしまう。五感に感じることが大事。秘密。あいまいにしておく。

そして【女教皇】には、なんと『浮気』の意味もある。

あのとき、タロットを引いてみれば良かったなあ、とつくづく思いますね。