バイセクシャルと言うと、一般的には、男も女も両方【イケる】性的に酔狂な人、というイメージありませんでしょうかね。

実際はそうでもないんですけどね。少なくとも、ぼくの場合は性的な衝動ってあまりないんですよ。二股、三股をかけている知り合いから「オレもバイセクシャルだから」とカミングアウトされたことがあったんですが、「いや、お前はバイセクシャルなんかじゃない」とぼくなら断言しますね。

でもバイセクシャルの人は、本当に性的衝動が少ないのか。いままでバイセクシャルの友だちがぼくのまわりにいなかったこともあって、あまり確信が持てずにいたのです。

ところが、なんたる天の配剤か、ほしよみ堂の占い師仲間の、なきりともきさんもバイセクシャルだということが分かって、今回、答え合わせをすることが出来たのです。

ぼくとなきりさんがそれぞれ生きてきた道をお互いに振り返ってみますと、やはり、性には奔放ではなかった。それどころか特定の人を好きになること自体が少ないみたい。

ふたりの一致点として、『身の回りの人たちを平等に好きになって世話をしたがる』ことがありました。リノルナ流に言うなら、それは結局、誰に対しても興味がないのかもしれないし、なきりさん流に言うなら「ラブ(LOVE)ではなくライク(LIKE)」という感じか。

なので、バイセクシャルの人は、もしかしたら相手に気があるみたいに、勘違いをさせてしまうということ、あるかもしれません。相手に【恋愛】みたいに感じさせてしまうけど、でもぼくにとってそれは【親切】にすぎないみたいな。なきりさん風に言えば【人が好きなだけ】と言うことになるのかな。

異性愛者(ヘテロセクシャル)の男性のなかには【お盛ん】な方、いらっしゃると思いますけど、ぼくは自分が相手に恋をしていないと、もっと言うと(ここがバイセクシャルの人のズルい部分だと思います)、自分に対して相手が恋心を持っていないとき、ぼくは同性にも異性にも性的な印象を感じないのです。

バイセクシャルって、たぶん、そこがいちばんの問題なのです。そして、ぼくが自分が嫌いになる瞬間でもある。

だって、人に恋心を抱かせておいて、自分はその人のこと、別に好きじゃないなんて。しかも多くの場合、ぼくはその人のことを友だちとも思っていないことすらある。いやいや、本当にふつうに友だちだとは思っているんですよ。その瞬間は。すごくサービス精神旺盛なリノルナなんですから。ただ、でもその割には、友だちとしてすぐに思い浮かぶのは、ごく数人みたいな。

ぼくは自分の、この性質について、思春期の頃、そうとう深刻に悩んだことがあるのです。自分はサイコパスなんじゃないか、と考えて、心理学の勉強をかなりやったほどなんですから。

(後編につづく)