(前編からの続き)

リノルナが考えるバイセクシャルの不幸、それは【友人】の中から【恋人】を探してしまうこと。もっと正確な言い方をすると、【恋人】は【友人】の群にかならず含まれなくてはならない。当事者のぼくからすると、バイセクシャルの第1の不幸はコレ。

やっぱり友人に手をかけるなんて、とても背徳的な感じがしますものね。ぼくのところにも『友人を好きになってしまいました』っていう相談、けっこう来るんです。でも実際は、そんな背徳的なこともないかもしれないですよ。

なぜならば、相手のほうが、すでにあなたの気持ちをひしひしと感じている場合も多いんです。あなたがよっぽど上手に気持ちを隠しているならば別ですけれど。

恋人を作るには、①相手のことをよく知って→ ②尊敬できて→ ③そして恋心が芽生える、というプロセスがどうしても必要ですよね。LGBTQの場合は、さらに【カミングアウト】という難関も加わります。だから、友人の中から恋人ができるのは、当たり前のこと。

バイセクシャルの人は「みんなのことが好き」という感じで世話好きが多い。なきりさん風に言うと『推しを選べない』。いわゆる【箱推し】で、周囲の人を均等に手助けしていくので、節操がないように思われたりもするかも。そして、まれに【推し】が発生する。これが【友人】ですよね。

ぼくだったら【友人】には、猛烈なサポートをします。それこそ【家族】みたいに打ち解けていくんです。すると、「こいつ、オレのこと好きなんじゃね?」と相手は思うことでしょう。バイセクシャルの人の【友情】って、【恋心】と勘違いされること、よくあるんですよ。バイセクシャルの第2の不幸はコレです。

同性でも異性でも、ぼくの【友人】はきっと「この人はわたしに恋をしているんだ」と思うことでしょうね。でもぼくのほうでは、彼らには友情があるだけ。告白されてもお断りすることになるでしょう。とりあえず付き合ってみたら?と言われることもよくあるけど、ぼくはムリかな。好きじゃない人と恋人になるなんてね。一目惚れって、ぼくには考えられないです。

いっぽう、バイセクシャルの人を恋人に選んだ人は、ぼくたち当事者をたいそう誘惑に弱そうに感じるみたい。だれにでも親切だから、浮気をしないか不安になるみたいなんです。なきりさんは、彼女が不安で泣かないように、つねに一定の距離を置いた人付き合いを心がけているそうです。ぼくは、あまり気をつけていないので、妻に「いろんな人に付いて行かないようにしてね」と毎朝、出掛けに言われます。

ぼくも、なきりさんも、恋人のことを自分の中の最上位に置いて、まるでタマシイの片割れみたいに考えるから、本当はすごく一途なんですよ。そしてときどきトラブルメーカー。でも浮気なんて絶対しないですよ。