占い師リノルナの事件簿@京都ほしよみ堂第31話「コインランドリー」

ぼくは、
洗濯物がグルグル回転している様子を
見ているのが好き。

部屋のベランダには、
洗濯機を置くらしいスペースがあるみたいだけど、

ぼくは洗濯機を持っていない。

ぼくは気に入った衣服があると、
同じものを集める。

いまは
同じ靴下が7足。
同じ肌着が7枚。

7日経ったら、コインランドリーに行く日。

でも、ほんとうにそうだったかな。
よく分からない。

5日目に行くこともあるし、
早朝や、昼や、夜行くことだってある。

今日は
コインランドリーに行く日。

白いポリ袋に
6日分の洗濯物を詰めて、真夜中の通りを歩く。

コインランドリーは
いつも開いていて、
いつも同じ。

真夜中のコインランドリーは、
少しだけ床が冷たい。

蛍光灯の光は強すぎて、
影があまりできない。

ここでは、
夜も昼もあまり区別がない。

今日は洗濯が終わるまでここにいて、
「捜神記」の文庫本のどこか好きな箇所を
読んで、待っていようかな。

ドラム式の洗濯乾燥機の前では
海外からの旅行者が一人
機械の使い方が書かれた説明書きをじっと読んでいる。

ぼくは、
とくに手助けしたりしない。

聞かれたら、答えるけど。

洗濯が始まる。

ドラムが回転して、洗濯物がグルグル回り始めた。

「60min.」
完了までのカウントダウンが表示される。

どこを読もうかな、と
一瞬だけ考えて、

やっぱり
特に決めずに
適当に開いたページを読む。

ぼくは丸椅子に腰かけて、
文庫本に目を落としていたけど、

いつのまにか、
回転する洗濯物をじっと眺めていた。


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