(1)からのつづき

ここからは、自家製アップルソースの話。

そのころ、ぼくにはデンバーにボーイフレンドがいました。背はぼくよりすこし低いのですが、すこし年上で、大学で数学と歴史学を修め、頭が良いところがステキでした。

彼はワシントン州にある大学をいったん休学して、コロラド州のネイティブ・アメリカンの歴史を調査する毎日。そんな彼の急ごしらえのアパートに間借りして、ぼくは占い師の修業をしていたんです。

昼になると彼のアパートから師匠のオフィスに出かけて、夜になると師匠のオフィスから彼のアパートに帰る。それがぼくの日課です。彼のおかげで路頭に迷わずに済み、安定した生活ですが、すこし単調で気だるい日々ではありました。

そのころのぼくは、占星術師の師匠に毎日くっついて歩いていました。彼女といっしょに瞑想をしたり、西洋の四大元素である【火、地、風、水】にまつわるおまじないを、師匠から一日ひとつずつ教わるという、なんとも奇妙で不思議な毎日。

前回のブログのロサンゼルスからのご夫妻のために、必要があって大至急呪いの解除方法をいくつか伝授したのですが、そのときお伝えしたのはこの師匠ゆずりの技です。簡単ですけど、あれらの効き目は絶大なのですよ。

そんなころ、彼がぼくに夕食を作ってくれると言うのです。

「今日はキミに美味しい料理を作ってあげる。最近ホームシックみたいだから、キミの国のソウルフードをさ」と彼が言うので、ハイそれはもう、すこしだけ楽しみにしていましたよ。

本当は、その夜は近所のバーに二人で行って、おいしいステーキサンドを食べる約束だったのですけどね。

彼のアパートに帰ってみると「白飯」が平皿いっぱいに用意されていました。いわゆる「ライス」というやつ。さあたらふく食え、というのだけど。「日本ではライスだけ食べるということはしない」と彼に注意しなければいけなくなりました。

じゃあ分かった、と彼が出してきてくれたのが自家製のアップルソース。彼のおばあちゃんの秘伝のソース。甘酸っぱいリンゴのジャムをご想像くださいね。

ライスの自家製アップルソース添え。追加で豆も出そうか、と缶詰のビーンズも。お皿に取り分けてもらうと、なんだかこれはイギリス料理みたい。アップルソースはとても美味しかった。ご飯はいまいちだったかな。

そして25年後の先日、ぼくの妻のお母さんからいただいた自家製リンゴジャムが、その元カレのおばあちゃんの自家製リンゴソースの味にそっくり! 思わずご飯の上に載せて、食べ比べてしまったほど。

それからいちばん最近。同僚の占い師のなきりともき先生が「わたし白米は、白米だけで食べられます」と教えてくれました。彼女とはなんの話をしていたときだったのでしょうか。忘れてしまったけど、すごく唐突にね。すくなくともデンバーの元カレの話を彼女にしたことないんですけどね。

でも『西洋占星術』と『アメリカ』と『アップルソース』が揃ったところで、リノルナはハタと気づいたわけです。

なんだか25年前のことがリピート再生しているみたい。ぼくの師匠は、もちろんこの京都にはいないですけど。「師匠がいない」という、この簡単な事実もなんだか重要なメッセージのような感じがする。

リノルナが京都の地で西洋占星術を教えることになった本当の理由。つまり「今度は、あなたが誰かの師匠になりなさい」って言われているみたいに感じるのです。

(了)

里乃月リノルナの西洋占星術パーフェクト講座・初級編【第1期】
日時:2023年11月25日(土) 13:00~18:00
場所:京都ほしよみ堂
参加費:50,000円(税込、テキスト代込、お茶代込)
内容:

  1. 西洋占星術は「命占」
  2. 生時がわかる場合の占い方
  3. 生時がわからない場合の占い方
  4. 惑星
  5. ハウス
  6. 星座(サイン)
  7. アスペクト
  8. 実践問題

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