占い師リノルナの事件簿@京都ほしよみ堂第56話「お化けレストラン」

なんだか、すごくよく眠っていたような気がします。
気がつくと、
ぼくは道端に立っているところでした。

なにかをしていたような気がするけど、
すっかり忘れて、なにも思い出せません。

状態の確認のために
身につけていたポシェットを身体からはずして、
中身をチェックしてみることにしました。
ポシェットの外側には、ウサギのハンドパペットがくくりつけてあります。

  • ウサギのハンドパペット
  • 鍵束のついた金属の棒
  • サクマのいちごみるくのアメ×2
  • パインのチイカワアメ×2
  • 紙のお金がたくさん

「これはお金が、たくさん入っていますね」
 と、ぼくは独り言をいいました。

「その金は、おまえのギャラみたいなもんだ。取っておけよ」
 と、ウサギのハンドパペットが返事をしました。

そうなんだ。じゃあ、このお金をなにかに使ってみようかな。

道のすぐ並びに、レストランがありました。
ぼくはポシェットを身に着けて、お店の玄関を見上げました。

「ここは、大人の人だけ入れるのかな」
「なんだよ。おれはべつに気にしないぜ」

サーチをしてみると、ここはどうやら、
お化けがやっているレストランのようです。

「おまえもついてきてね」

<カチン>と後ろのほうで、音がちいさく響きました。
 
扉を開けます。

中は、とても広くて、
入口の近くに、ソファが置かれています。

ソファには、クッションが2つ乗っています。

あとはガランとしていて、
大きな丸テーブルが6つ、ありました。

そのうちのひとつに、
白いテーブルクロスが敷かれています。

椅子は3つ、用意されていました。

ぼくと、ウサギのパペットと、あの子の分なのかな。

ぼくは入口のソファからクッションを持ってきて、
1つ目の椅子の座面に重ねて置きます。

その上に、ウサギのパペットを乗せます。

2つ目の椅子は、
座りやすいように引いておきます。

3つ目の椅子にぼくは腰を掛けました。

ぼくは、テーブルクロスの白い色を見つめていました。
しばらく経ちましたが、注文を取りに来る感じはありません。

テーブルの上に、
メニューを書いた紙が置いてあることに気が付きました。

ぼくは、文字を読んでみることにしました。

「基本的な寿司。握り寿司。
 お皿に寿司の上に『握り』を乗せて食べる。
 オムライス寿司、カツ寿司、マグロ寿司――」

「ここは、寿司屋なんだな」

「特別な寿司。
 天丼。お天気の日に食べる特製寿司。
 わたし、この天丼食べてみたいな」

<カチン>と、2つ目の椅子の辺りから音が聞こえました。

リンゴのチキン(肉じゃが)。
 コース料理。
 たこ焼き三種。抹茶味。キャラメル味。抹茶とキャラメルのミックス。
 カニの刺身。
 カニの殻のスープ。
 カニの中身とたこ焼きの皮の包み焼き。
 カニのアイスクリーム。」

カニの中身とたこ焼きの皮の包み焼きの手順。

カニの準備

カニの身を洗い、塩で軽く塗り、転がして中身を抜きましょう。

たこ焼きの皮の準備

たこ焼きの皮を水で洗い、乾燥させます。
お好みで塗り、油で転がして「たこ焼きの皮」として使います。

たこ焼きの皮にカニをのせる

たこ焼きの皮にカニの身をのせて、中まで詰め――

奥の扉のほうから、
ワゴンを押す音がガラガラと響いてきました。

ワゴンは、テーブルの前に止まると、
なにか曖昧な形のものが3人分の配膳をはじめます。

まず、たこ焼きのお皿が並べられました。

「おまえ、これほんとに食べる気か?」

ぼくはたこ焼きを口に運びました。
1つ目は苦い味。2つ目は甘い味。3つ目は苦くて甘い味。

ワゴンがやってきて、
空になったお皿は、片付けてくれます。

ウサギのパペットとあの子はお皿に手を付けないので、
お皿はそのままテーブルに残ります。

カニの刺身の皿がやってきました。
海の風味と、グニュッとした食感の味。

「おまえたちは、食べないの?」

「オレがなにかものを食べるように見えるのか?」

<カチン>

カニのスープ。海の風味の味。カニの中身とたこ焼きの皮の包み焼き。
カニの風味とたこ焼きの皮の味。
カニのアイスクリーム。

海の風味と、グニュッとした食感の味。

ワゴンは、
アイスクリームの皿を片付けに来ませんでした。

ぼくはウサギ人形をポシェットに縛りつけ、
クッションをソファに戻すと、

会計台の前に立ちました。

「3人分だから、紙のお金、3枚でいいかな」

会計台の上に、紙のお金を3枚を、
ぼくは、そっと載せました。

紙のお金は、まだまだたっぷりありました。
つぎはどこに行こうかな。