
占い師リノルナの事件簿@京都ほしよみ堂第45話「本棚」
ぼくのお店の鑑定台のそばに本棚があって、
占いの本と、コミックが入っている。
占いの本は、なぜだか初心者用の本ばかり並んでいる。
もうちょっと難しそうな本を並べておけば、
占術研究家の書斎みたいで、カッコいいかもしれない。
でも、いいこともあって。
子どもをベビーカーに乗せてやってきた女性客などの場合は、
子供をあやすための恰好のおもちゃ箱に変身する。
コミックは軽いので、子どもに大人気。
『ホリック』をひとつ抜き出して、床に投げる。
もうひとつ抜き出して、今度は小さな手で掴んだまま振り回す。
『ホリック』は蝶のように羽根をバタつかせて、
床の上には、
羽根を広げたままの蝶の死骸の山が築かれていく。
ぼくはそれらの本を
もとあった場所に雑に突っ込む。
ぼくの本棚を眺める人は、子どもや占い好きのほかにも
もちろんマンガ好きの人も含まれる。
「わあ、先生。ホリックお好きなんですね。わたしもです。
おー。封神演義、女子高生の無駄づかい、攻殻機動隊まである!
いいラインナップです」
「はい。好きなんですよ」
「でもなんで、ホリックだけ巻数通りに並んでないんですか?
気になるな」
「ホリックは軽いので、よく子どもに参照されるんですよ。
攻殻機動隊は重いので、ほとんど手に取られません」
「ああ、たしかに!カラーページありの豪華愛蔵版ですもんね。
分かります、分かりますとも」
客のいなくなった店内。
ぼくは本棚のホリックを眺める。
5 1 12 3 8 ……
たしかに、めちゃくちゃだ。
でもこの並びを見ていると、
あの子どもが頭の中で再生される。
ホリックを順番通りに直すと、
もしかしたら。
あの子どもは消えちゃうのかな。
引用作品
『xxxHOLiC』 CLAMP
『封神演義』 藤崎竜
『女子高生の無駄づかい』 ビーノ
『攻殻機動隊』 士郎正宗





