そろそろ花粉が飛び始めているのでしょうか。
何だか目が熱いというか…
節分を前に、耳鼻科シーズン到来かもしれません。
さて、タイトルに『愛』なんて大層な事を書きましたのは、このカードのお話をしたいなと思ったからです。
大アルカナの8番ストレングス、日本語では、『力』や『剛毅』と訳されているあれです。
優しげなお姉さんに、従順に従うライオン。
この絵のどこに剛毅が隠されているのかが、8番を読み解く鍵の1つですね。
細かな解説は沢山の先生達がしておられますので、今回は省き、私の持っているイメージのお話をしたいと思います。
最初にカードの解説を受けたとき、一番に思い浮かべたのは、ライオンの洞窟に閉じ込められたダニエルという聖人の話でした。
かいつまんで書きますと、こんな話です。
優秀であったため、異教徒にもかかわらず王様に重用されたダニエルは、他の家臣のやっかみをうけ、陰謀の末に人食いライオンのいる洞窟に投げ込まれてしまいます。
しかし、神様はその力でライオンの口を閉じてしまわれ、信仰篤いダニエルは襲われる事なく一晩を過ごします。
翌日、しめしめとダニエルを陰謀にかけた家臣がやって来ると、ライオンはその力を解かれ、家臣はライオンに食べられてしまいました…
と、まあこんなような。
恐ろしい人食いライオンの口を閉じた力は果たしてなんだったのでしょう。
このお話に託されている意味は、剛毅のカードと通じるものがあると、私は考えています。
❝I believe ❞ 私は信じている
自分の神を、強く揺ぎ無く信じているダニエルの心に、神はお答えになった。
己の中の弱さや恐怖の克服し、目に見えない不確かなものを信じ、己の信念を曲げない強さ。強く深く相手を愛しているからこそ生まれる、揺るぎない信頼。そういうものが、獄の中のダニエルにライオンの顎を閉じる奇跡をもたらした。そうは考えられないでしょうか。
ダニエルが信じていたのは、神と、私と、私の信念。
カードの中の女神は、決して腕力でライオンを引きずり、薔薇の鎖で縛り付けているわけではありません。
恐怖心から逃げず、恐ろしげな姿に寄り添い、薔薇の鎖で己と結び付け、ライオンを信頼し私とお前は一体であると示すことで、ライオンを従えています。
自分の弱さ、みっともない自分。
その対極に、相手への恐怖や嫉妬が潜んでいる。
自分を認め許すと、他人にも優しく忍耐強くなれる。
自分を信じ、相手を信じる人は、人を動かす。
勇敢で慈愛に満ちた女神様の大いなる力に、世界に対する恐怖でいっぱいだったライオンは、尊敬と安心を得ます。
ライオンは女神様を敵として飛びかかる必要はないのだと理解するのです。
だから女神様はムキムキじゃなくてもライオンが制御できるんですね。
付き従ったライオンはもはや恐怖の象徴ではありません。
克服された力、誇りとして彼女を守り、
己の中の獣を従えた彼女の頭上には、無限を現す光が冠のように輝きます。
8番のカードの『勝利と克服』『毅然とした決意』の意味。
それは単純なラッキーではなく、困難に打ち勝つ精神的な強さが必要だと示しています。
ギャンブル運の来ている時なんかにも剛毅は出たりしますが、
より複雑な相談でこのカードが出たなら、やはり試練の時。
困難への勝利と克服で、自分の内なる『力』を得ていく、大きな運勢の流れが来ているのです。