ホロスコープ上に現れる、その人の『弱み』は色々なポイントがあります。

ハードなアスペクトが出来ている部分だったり、6、8、12ハウスに入る天体を見たり。

ノード軸の絡みを確かめる。マレフィックがどんな状態なのか。明らかに品位が落ちている天体はないか…

ご本人が感じておられる違和感や生き辛さがどこに絡むものなのか、問題によっても注目する場所が変わりますよね。

モダンで魂の傷や癒しの必要な個所を見みる時、特徴的なのがキロン(カイロン)です。

キロンは1977年だったかな?70年代後半に発見された、新しい小惑星です。

ですので、伝統的占星術では登場しない天体です。

心や魂の傷を象徴するこの小惑星は、心理に重きをおく現代占星術にとてもマッチした星だという感じがしますね。

土星と天王星の間に軌道があり、公転周期は約50年。後に彗星ではないのかと言われて、現在では小惑星と彗星の両方で登録のある天体だそうです。

半神で半馬の姿をとるケイローンらしい感じもしますね。

西洋占星術上でのキロンはその軌道から、現世・現状の境界を引く土星の内側へ、新たなる世界や可能性を持ち込もうとする天王星領域のパワーを橋渡しするようなイメージを帯びます。

土星というと試練や境界を意味するものでもありますから、怖いイメージを持つ人も多いはず。

けれど土星の持つ作用は、人が個人として認知され、世界と自分が並び立つために必要な心と心の境界線を作り自立するための力を養う、とても強い守りでもあります。

この自分を守り、世界を支えるものに対して、天王星は変革と衝撃を与えてくるんですね。

そんな強烈な変革を受け入れるためのきっかけを運んでくるポイントが、ネイタルにおけるキロンの配置。

私はキロンの位置について、『魂の傷』と表現されるほど、その人のアイデンティティに深くインパクトを与える可能性を秘めたポイントと捉えています。

鑑定をさせてもらう中で、キロンの事柄についてお尋ねすると、それほど強く感じない人もいれば、重たく立ち直れないと思えるほど苦しく感じる人もおられます。

キロンの衝撃と出会う前に信頼できる人たちに恵まれたり、よいタイミングで経験ができた方もあるでしょう。

一方でどうしようもないアンラッキーなタイミングでキロン的な出来事にあったり、ショックと向き合っていくための環境が整わず、そのままになってしまう方もある。

前者の方であれば、自分の限界をなんとなく感じている、そんな時の突破口としてキロンの配置を考えてリーディングしていけばよいのではないかと思います。

キロンのインパクトは、その人の人生への、とても良い問題提起となるでしょう。

ですが、深く傷を自覚しながら、まだ抱えきれずにいる方には、その痛みを無理に治そう立ち直ろとする必要はないとお伝えします。

キロンの傷はずっと抱えていくものです。

見て見ぬふりをしてはうまく人生を歩いていけませんが、心の傷は直視したからといって綺麗さっぱりなくなりません。

時間をかけて付き合い方・向き合い方を見つけ、どうしたら『寛解』の状態を保てるのかを探すしかないものだと考えています。

このとても難しい折り合いをつける方法が見つかったなら、同じような心の傷を抱えた人たちにとって、素晴らしい希望の道を示せる先駆者となるわけです。

苦労をした経験が、似た経験をする人の大きな助けになる。その為、キロンは癒し手とも考えられているのですね。

キロンリターンは50年。

キロンの傷はそれだけ深く考え、悩み、人生の後半まで連れて歩く。

そんな魂の影の同伴者なのでしょう。

次回あたり、私のキロンについて少しお話しようかと思います。

大した経験でもありませんが、同じような痛みを抱える方に、何かしらのヒントになればいいなと思います。